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税理士コラムVol.3 ~森林環境税をご存じですか?~

皆さんは「森林環境税」なるものを聞いたことがありますか?

初めて聞く方もいるかもしれませんが、実はこの6月より多くの方を対象として、「森林環境税」の徴収が始まります。

今回は、この「森林環境税」そして「森林環境譲与税」という税金について説明します。

森林環境税とは

森林環境税とは、2024(令和6)年度から国内に住所のある個人に対して課税される国税であり、市町村において、個人住民税の均等割と併せて1人年間1,000円が徴収されます。その税収の全額が、国によって森林環境譲与税として都道府県・市町村へ譲与されます。

仕組みとしては以下の図のようになります。

出典:森林環境税及び森林環境譲与税|総務省

納税義務者と納付方法

森林環境税の納税義務者は、日本国内に住所を有する個人であり、所得金額など一定の除外要件がありますが、実質として個人住民税の均等割が課される方が対象となります。課税対象者の数はおよそ6000万人で、税収としては1人1,000円×6000万人で年間600億円と見込まれています。

納付方法は、個人住民税の均等割の徴収と併せて行うこととなっています。平成26年度から10年間臨時的に課されていた住民税の復興特別税が終了した代わりにこの森林環境税が導入されましたが、復興特別税はあくまで臨時的な措置であったため、納税者にとっては実質的に住民税の均等割が1,000円引き上げになったのと同じであるといえます。

 

創設の目的と使い道

創設の目的としては、①国土の保全、水源の維持、地球温暖化の防止、生物多様性の保全などの様々な機能がある森林の整備等に充てること、②「パリ協定」で定めた目標達成するための地方財源の確保であり、森林環境譲与税と併せて創設されました。

この森林環境譲与税は、市町村においては「森林整備及びその促進に関する費用」に、また、都道府県においては「森林整備を実施する市町村の支援等に関する費用」に充てることとされています。都道府県・市町村は、インターネットなどを利用してその使い道を公表しなければなりません。

ちなみに森林環境譲与税は2019年より先行して既に都道府県と市町村に交付がされています。ただし、国からの具体的な活用方法が示されていない自治体側の対応が間に合っていないなどの問題があり、さらに、上記のように使途の公表義務があるため担当職員が慎重になりすぎているなどの混乱も生じているようです。森林の少ない都市部などでは使い道に難儀する場合もあるかもしれませんね。

まとめ

結局のところ、森林環境税とは、国内の森林整備等を目的として課されるもので、その税収は一度地方を経由し国に入った後、交付金である森林環境譲与税として都道府県及び市区町村に配分されます。

正直、我々からすると期間限定で復興特別税として徴収されていた1,000円が気がつくとそのまま森林環境税にスライドして課税されるようになっており、なんだか“してやられている”ような気がしないでもないですが…。加えて、この森林環境譲与税、一部報道によると交付された半分近くが未使用になっているようです。たかが1,000円、されど1,000円!我々国民としてもこの森林環境税及び森林環境譲与税の使い道、そしてこの税金そのものの意義についても注視していく必要がありそうですね。