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【第4回】ブロック塀の安全と危険(その1) ~塀の構造と基準~

皆さんは地震や台風などの災害が起こった時、テレビや新聞で塀が倒れていたり、崩れていたりしているのを見たことはないでしょうか?
塀は土地の仕切りなどで使われていますが、災害などで倒壊すると避難の妨げになってしまったり、正しい施工がされていないと重大な事故につながったりします。
今回は塀の構造や基準について理解をし、安全に活用できるように考えてみたいと思います。

塀について

塀は、主に家屋や敷地などの境界とする囲いで、区画、目隠し、防火、侵入防止等の目的で設けられ、ブロックや石材、レンガ等で作られます。

塀の構造

塀の構造としては、主に『組積造』、『補強コンクリートブロック造(以下、補強CB造)』に分けられます。組積造は、積み重ねて造る建築構造のことで、レンガ造、石造、コンクリートブロック造、その他の構造が含まれます。補強CB造も基本的な造りは同じですが、最も大きな違いは、鉄筋が有るか無いかということです。一般的なブロック塀と呼ばれているものは、『補強CB造』のブロック塀であることが多く、補強CB塀とも呼ばれます。建築基準法では、組積造と補強CB造は以下のように分けられます。

 

組積造は地盤から1.2m以下までで、補強CB造は地盤から2.2m以下。
この高さの中には笠木(※)も含まれます。

(※) 笠木とは塀などの壁の上に付けるもので、壁の上部から雨水等の侵入を防ぎ、
壁内部の劣化を抑える重要なもので、塀においては、中にある鉄筋が劣化するのを
防ぎます。


塀の厚さは、組積造においては塀の高さの10分の1以上、補強CB造では15㎝以上となっています。ただし、補強CB造が高さ2m以下の場合は10㎝以上でよいこととなっています。

控え壁は、主壁に対して垂直方向に突き出て、補助的に支えるものをいいます。この控え壁でコンクリートブロックを積み上げたとき、強度を増すようにするものです。
控え壁の配置・大きさは、組積造の塀で塀の長さが4m以下ごとに、塀の壁面からの控え壁を設ける部分における塀の厚さの1.5倍以上の長さのある控え壁が必要になります。しかし、その部分の塀の厚さがすでに塀の厚さの1.5倍以上ある場合は、制限が緩和されます。
補強CB造では、塀の長さが3.4m以下ごとに控え壁が必要で、直径9mmの鉄筋あり壁の長さが、塀の高さの5分の1以上出ていることが要件となります。

基礎の根入れとは、基礎を地中に埋めることをいい、基礎を埋めることで地耐力(地盤が支えることができる重さ)の限界値を大きくすることができます。
基礎の根入れは組積造では深さ20㎝以上で、補強CB造では30㎝以上と決められています。

補強CB造は、塀の中に直径9mm以上の鉄筋を塀の両端及び角の部分と、縦横に80cm以下の間隔で配置しその周りにモルタルを充填します。鉄筋の先端は、かぎ状に折り曲げます。

 


画像を見てみると塀に小さな穴が多くありますが、これは型枠を固定するために使われたプラスチックコーン(Pコン)が取り除かれた跡です。Pコンはセパレーターという鉄筋が施工する塀等の厚さや型枠の間隔が変わらないようにするためのものです。

 

まとめ

さて、今回は塀の構造や基準についての確認をしました。
次回は、このような基準が設けられた背景やその改正の経緯について説明をし、現状の取り組みなどについて述べていきたいと思います。