【第3回】ラーメン構造とは!?
建物の構造形式には、主に2種類の構造があります。
1つ目は、「壁式構造」です。壁式構造とは、柱や梁の枠組みの代わりに「壁」という面で建物を支える構造で、低層マンションや住宅などで多く使われています。時々耳にするかもしれませんが、「ツーバイフォー」という工法はその典型例で、約2インチ×4インチの規格材が基本構造に用いられる単純な工法で、日本だけではなく欧米を中心に世界でも使用されている工法です。
▲壁式構造のイメージ図
そしてもう1つは、「ラーメン構造」という構造形式です。
ラーメン構造と聞くと何のことだろう??食べ物に関連しているものだろうか??と戸惑う人も中にはいると思います。そこで、今回はこのラーメン構造について意味と由来や特徴、メリット・デメリットについて説明していきたいと思います。
1.ラーメン構造の由来
ラーメン構造と聞くと皆さんは食べ物のラ-メンが頭に浮かび、少し混乱しそうになるかもしれません。
ここでいう「ラーメン」は、ドイツ語で枠や額縁を意味する「Rahmen」という単語から名前が付けられました。食べ物のラーメンは、「Ramen」と書き、ラーメン構造とは一切関係がありません。
ところで、以下の画像は、某カップヌードルミュージアムに展示されている、ラーメンの中の構造ですが、建築におけるラーメン構造とは似ても似つかないようですね。。。
2.ラーメン構造とは?
特徴
ラーメン構造とは、柱と梁で建物全体を支える構造のことです。事務所ビルやマンション、中層集合住宅などのような、比較的大きな建物に多く使われています。柱と梁の接合部分がしっかりと完全に固定されているため、水平方向に力がかけられても変形しにくくなっています。
もし、地震により横揺れが発生したときは、柱と梁が一体化することにより建物全体で地震力に耐えようとします。
▲ラーメン構造のイメージ図
メリット
- 室内空間が広くとれる
柱と梁で強度を持たせるための壁を室内に設置する必要がありません。そのため、室内の間取りに壁の設置を考慮する必要がないため、間取りの自由度が高い大空間を作ることができます。また、室内の壁に強度を持たせる必要がないため間取りの変更がしやすいです。
- 構造部材の施工や設計が簡単
ラーメン構造は柱と梁で建物を支えるというシンプルな構造のため、施工が比較的簡単だとされています。そのため施工がスムーズに進み、工期も短くなることも多いです。
デメリット
- 柱や梁によって部屋に出っ張りができる
柱や梁で建物を支える構造であるため、柱や梁が大きくなり部屋に出っ張りができ壁式構造と比較して部屋が狭くなり、圧迫感を感じたり、使い勝手が悪いスペースができたりします。
- 耐震性・防音性が劣ることがある
軽い地震の揺れは吸収することができますが、想定外の地震に対してはゆがみが大きくなり、元に戻らない場合もあります。また、柱と梁を一体化することで耐震性を高めているラーメン構造ですが、壁式構造に比べると耐震性が劣ります。そのため、ラーメン構造で耐震性を少しでも強化したい場合は、耐力壁(※)を入れて補強するという方法もあります。
(※)地震や風などの横からの力に抵抗する壁のこと
- 構造部材のコストが高くなりがち
鉄筋コンクリート造や鉄筋鉄骨コンクリート造の材料は高価な重量鉄骨を使用する場合が多いため、必然的に建築費用が高額になります。また、重量鉄骨を使用するとなると、建物の重量が重くなるので、敷地の地盤が弱いと地盤改良の工事をしなければなりません。
地盤改良の工事をおこなうと、建築コストも比例して上がってしまいます。ラーメン構造で建物を建てる場合は、建築費を多く見積もっておくといいでしょう。
3.まとめ
今回はラーメン構造について説明しました。興味を持っていただけたでしょうか??
ラーメン構造は、沢山の建物の構造設計に広く採用されています。
専門用語もあり、中には少し難しいと感じた方もいたかもしれませんが、このコラムを参考にしていただき、ラーメン構造についての理解を深めてみてはいかがでしょうか。
以上、カップラーメンは圧倒的シーフード派のDaifukuがお送りしました🐕